「毎日4時間睡眠でも平気」「睡眠時間を削れば時間が増える」
そんな“ショートスリーパー信仰”に、あなたも心当たりはありませんか?
実はこれ、科学的には非常に危険な勘違い
かもしれません。
睡眠のプロが明かすデータによれば、“本物のショートスリーパー”は 1000人に1人以下
。
つまり、あなたも私も「例外」ではなく、睡眠が必要な大多数の側 なのです。
この記事では、ショートスリーパーという言葉の誤解と、
健康を守る正しい睡眠の考え方 について、わかりやすく解説します。
はじめに
「もっと時間がほしい」
「短時間睡眠でも成果を出せる人が羨ましい」
…そう思って、“自称ショートスリーパー”を目指したことはありませんか?
でもその結果、朝はつらく、日中はぼーっとして、週末は寝だめ。
本当にそれでパフォーマンスが上がっていると言えるでしょうか?
本記事では、睡眠研究の第一人者・柳沢正史博士の解説をもとに、
ショートスリーパーの嘘と真実
、そして 健康を守る睡眠習慣
についてお伝えします。
読むことで、無理な短眠を卒業し、
「本当に頭と体が喜ぶ睡眠」の取り方 がきっと見えてくるはずです。
ショートスリーパーとは本来どんな人?

① 生まれつきの遺伝で決まる「本物のショートスリーパー」
“本物のショートスリーパー”はごく少数の生まれつきの体質を持つ人 です。
睡眠時間が5時間未満でも日中に眠くならず、健康状態に問題がない人は、
遺伝的な要因によって短時間睡眠でも正常に機能する体を持っています。
柳沢正史博士をはじめとする研究によれば、
このような人は1000人に1人、あるいはそれ以下の非常に稀な存在 です。
これは努力でなれるものではなく、
特定の遺伝子(例:DEC2遺伝子変異)によって決まるもの であるため、
一般の人が目指してなれるものではありません。
ショートスリーパーは“鍛えればなれる”ものではありません。
生まれつきの体質です。無理に真似すると、逆に健康を害する危険があります。
② 自称ショートスリーパーの多くは“睡眠負債”状態
一方、「自分はショートスリーパーだ」と思い込んでいる人のほとんどが、
慢性的な睡眠不足に慣れてしまっているだけ
です。
短眠を続けていると、はじめは「時間が増えて効率的」と感じるかもしれませんが、
実際には脳や身体の回復が不十分なまま毎日を過ごしている状態
です。
- 集中力が続かない
- 作業効率が落ちる
- 判断ミスや感情の乱れが増える
…といった影響がじわじわと出てきます。

最近、ぼーっとすることが増えた…

それ、ただの疲れではなく、積もった睡眠負債 かも!
特に注意したいのは、本人が不調に気づきにくい という点です。
「自分は大丈夫」と思っていても、実際には
パフォーマンスが低下していることが多いのです。
なぜ短時間睡眠は危険なのか?

① 認知力・集中力の低下がもたらすリスク
短時間睡眠を続けると、真っ先にダメージを受けるのは“脳の働き”です。
6時間未満の睡眠が続くだけで、
注意力や判断力は酒気帯び運転と同程度にまで低下する
という研究結果もあります。
恐ろしいのは、自分ではまったく気づけない
こと。
「普通に働けている」と思っていても、実際は
仕事のミスや交通事故のリスクが大幅に高まっている
仕事のミスや交通事故のリスクが大幅に高まっている
- 思考が鈍くなる
- 感情が不安定になる
- 大事な判断で間違える
こうした状態が「日常」になってしまうことが、短眠の最大の落とし穴です。
睡眠不足は“自覚できないパフォーマンス低下”を引き起こします。
気づいたときには取り返しのつかないミスや事故に繋がる可能性も。
② 睡眠不足が引き起こす「慢性疾患」の怖さ
短時間睡眠の影響は脳だけではありません。
体にも深刻なダメージが蓄積されていきます。
以下は、睡眠不足が関係するとされる代表的な病気です:
- 高血圧・心疾患
- 糖尿病・肥満
- うつ・不安障害
- 認知症(特にアルツハイマー型)
中でも注目されているのが、**「脳の老廃物は睡眠中にしか排出されない」**という事実です。
この“脳の掃除”がうまくいかないと、
認知症の発症リスクが高くなる可能性がある といわれています。

最近、物忘れが増えた気がする…

それは単なる加齢ではなく、睡眠不足の影響かも!
日々の短眠が、将来の大きな病気につながる可能性がある ことを、私たちはもっと意識する必要があります。
健康を守るための正しい睡眠習慣

① 夜のスマホ・寝酒がもたらす悪影響
眠る前の行動が、睡眠の質を大きく左右します。
とくに注意すべきは、スマホと寝酒 です。
スマートフォンやPCから出るブルーライトは、
脳を覚醒させ、入眠を遅らせる原因になります。
一方、寝酒は「眠気を誘うから良さそう」と思われがちですが、
アルコールは 深い睡眠を妨げたり、夜中の覚醒を増やす
作用があります。
- スマホの使用は就寝1時間前までに終了
- アルコールは夜の楽しみではなく、翌朝の不調の原因になることも
この2つを見直すだけでも、睡眠の質は大きく変わります。
② 睡眠の質を上げるシンプルな習慣とは
質の良い睡眠を取るには、特別な道具は不要です。
以下のようなシンプルな習慣
で十分改善できます。
- 就寝90分前の入浴(38〜40度)
→ 深部体温が下がるタイミングで眠気が自然に訪れる - 朝起きたら日光を浴びる
→ 体内時計がリセットされ、夜の入眠もスムーズに - 寝室は間接照明で暗く整える
→ メラトニン分泌を促し、深い眠りを誘導 - 夕方以降のカフェイン・アルコールを控える
→ 睡眠を妨げる刺激を減らす - 昼寝は15〜30分以内にとどめる
→ 夜の睡眠リズムを乱さず、午後の回復にも効果的
「時間が足りない」と感じている人ほど、睡眠の“質”を見直すべきです。
短くても深い睡眠が、毎日のパフォーマンスを変えてくれます。
まとめ|「自分は特別」と思わず、体の声に耳を傾けよう
「自分はショートスリーパーだから大丈夫」
そう思って睡眠時間を削る生活を続けていませんか?
しかし、睡眠の専門家によれば、本物のショートスリーパーは極めて稀
です。
ほとんどの人が、「慣れているつもり」で 睡眠負債を抱えた状態
にあるのが現実です。
短眠によって集中力は落ち、パフォーマンスは低下し、
さらに将来的には生活習慣病や認知症のリスク
にもつながります。
一方で、今すぐできる習慣――
「スマホを早めに手放す」「ぬるめのお湯で入浴する」「朝日を浴びる」――
これだけでも、睡眠の質は大きく改善
します。
まずは、「自分の体の声」に素直に向き合うこと
。
睡眠は「削るもの」ではなく、守るべきライフライン
です。
明日からの自分のために、今夜から少しずつ見直してみませんか?
Q&A|ショートスリーパーと睡眠に関するよくある疑問

Q1. 自分がショートスリーパーかどうか、見分ける方法はありますか?
A.
正確に判断するには、遺伝子検査や専門の睡眠検査が必要 です。
ただし一般的に、5時間未満の睡眠でも 日中に一切眠気を感じず、健康状態も安定している ことが条件です。
このような人は 極めて少数で、ほとんどの人は睡眠不足に気づいていない だけの場合が多いです。
「慣れた=問題ない」ではないことに注意しましょう。
Q2. 睡眠負債って、週末に寝だめすれば取り戻せますか?
A.
週末の寝だめで 一時的に回復した気になることはあっても、完全には取り戻せません。
睡眠は毎日リズムを整えることが大切で、
不規則な睡眠は 体内時計を乱し、かえって翌週がつらくなる こともあります。
まずは「平日にできるだけ一定の時間に寝る」ことを意識しましょう。
Q3. 忙しくて睡眠時間がどうしても取れません。何かできることはありますか?
A.
睡眠時間が確保できないときは、睡眠の“質”を上げる工夫
が効果的です。
たとえば:
- スマホを寝る1時間前にやめる
- ぬるめのお風呂に入る
- 寝室の照明を暗くする
- 朝は日光を浴びる
- 昼寝は15〜30分以内にとどめる
このようなシンプルな習慣の積み重ねで、短くても深い睡眠をとることが可能になります。
📚おすすめ商品まとめ
🛏️ 『今さら聞けない 睡眠の超基本』柳沢正史 著
「ぐっすり眠れない」「寝ても疲れが取れない」
そんな悩みを持つ人にこそ読んでほしい、**“睡眠の教科書”**とも言える一冊です。
- 睡眠不足が脳や体に与える悪影響とは?
- どうすれば質のよい睡眠をとれるのか?
- “睡眠負債”を解消するにはどうすれば?
こうした疑問に対し、睡眠研究の第一人者・柳沢正史氏が、
図解や具体例を交えてわかりやすく解説してくれます。
📘 本書の特徴:
- 「睡眠とは何か?」という根本から学べる
- 睡眠不足がもたらすリスクを医学的に説明
- 快眠のための環境づくりや生活習慣のヒントも充実
- 書き込み式の「私の睡眠記入シート」付き
👤 著者プロフィール
柳沢 正史(やなぎさわ・まさし)
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授
睡眠研究の第一人者として世界的に知られる医学博士
📖 質の高い睡眠は、人生のパフォーマンスを高める鍵です。
忙しい日々の中でも、自分の睡眠を見つめ直すきっかけとして、ぜひ手に取ってみてください。
🔗 専門家の見解・参考リンク
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